進出のための好条件が揃うASEANの成長株、カンボジアの魅力とは

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つい数年前までは「世界の工場」などと言われ、世界各国のさまざまな企業が海外展開を進めてきた中国。しかし、昨今の不動産バブルや経済成長の鈍化、原材料費や人件費の高騰、公害問題などにより、現在は海外進出先としての評価も下降気味です。

こうした中国の状況を受けて注目を集めているのが、ASEAN諸国。東南アジアの国々は人口も約6億人と多く、安定的に経済発展を遂げているため、ポテンシャルを備えたマーケットと言えるでしょう。日本企業の海外展開をサポートする「TENKAI」がお届けするこのコラム、今回は、ここ数年で海外進出企業が増加傾向にあるカンボジアについてご紹介します。

カンボジアに海外展開する4つのメリット

昨今、国際分業の受け皿として注目度を高めているのが、世界遺産のアンコール・ワット(写真)でお馴染みのカンボジアです。長引いた内戦の影響もあって東南アジアの中でも貧しい国とされていますが、近年の経済成長にともなって消費国としての底力は上昇中。今では隣国のベトナムやタイを上回る経済成長率を記録しており、ミャンマーやラオスと並んでASEANの成長株とも言える存在です。

国名:カンボジア王国(Kingdom of Cambodia)
面積:18.1万km2(日本の約2分の1弱)
人口:1514万人(2013年)
首都:プノンペン
カンボジア語
主要産業:農業、工業、サービス業、縫製業
名目GDP:約166億米ドル(2014年)
経済成長率:7.4%(2013年)
在留邦人数:2270人(2014年10月現在)

※出展:外務省カンボジア基礎データ ほか

1 外資規制が緩やか

日本企業にとって大きな魅力となるのが、外資規制がたいへん緩やかな点でしょう。製造業はもちろんですが、他の新興国で規制されている小売・卸・サービスといった非製造業でもほぼ外資100%で進出できます。また、政府に認められれば6年から最長9年まで法人税が免除されるという特典も。さらに外貨での決済がカンボジア国内で行えること、海外からの借入が自由な点も、海外進出を目指す企業にとっては大きな追い風となります。

2 親日的なお国柄

全人口の95%を仏教徒が占めるお国柄だけに、国民性も温和で真面目。長期にわたって日本が経済支援を展開している関係性もあり、対日感情も良好です。そのことを象徴するのが、メコン川にかかる全長1360mの橋。かつてこの大河には一本の橋もなく、交通の障害となっていましたが、日本の無償援助によって2001年に最初の橋が開通。この橋は「きずな橋」と名付けられ、現紙幣にもこの橋の図柄があしらわれています。

3 若くて安い労働力が豊富

全人口(1514万人)の約4割を20歳未満が、約3割を15歳未満が占め、15〜64歳までの生産労働人口が約6割の約900万人に達するなど、有望な労働力に恵まれている点もカンボジアの大きな魅力です。国連の推計によれば、2020年の生産年齢人口は1000万人に達するとされています。首都プノンペンの労働コストはミャンマー(ヤンゴン)に次いで低く、中国の5分の1程度とも。これも製造業の海外展開をうながす呼び水となっています。
※政府は、プノンペンにおける法定最低賃金を月額95米ドル(2014年時点)から2018年には月額160米ドルにまで引き上げるとしており、今後の人件費上昇には注意が必要です

4 消費市場としても期待できる

カンボジアにおける1人あたりのGDPは950米ドル(2012年)に達し、人口増加率も1%台をキープ。消費市場としての魅力もますます高まってきました。こうした中、タイやベトナムといった隣国にはすでに多くの日系企業が進出しており、家電製品や日用品の生産が活発に行われています。今後はカンボジアの市場を狙った商品やサービスも、これらの国々から豊富に供給されるものと見られています。

実は「別の国」にニーズがあるかも?

カンボジアは外国の直接投資に積極的で、中でも日本の海外展開については「質のよい投資」と高く評価しています。ここ数年にわたってカンボジア政府の要人が来日し、積極的に誘致を展開している事実はその証拠と言えるでしょう。電力の供給が不安定なところがある、そのわりに電気代が高い、熟練した労働者・技術者の数が少ない、医療水準が低いので病気やケガをした際の不安が大きい、行政職員の腐敗が多い、といったようにリスクも少なくないですが、成長性や将来性はASEAN諸国の中でも目立っています。

もちろん、すべての規模・業種・業態の企業にとってカンボジア進出がおすすめかというとそうではありませんが、現地での情報収集や市場調査を行う中で、「実はカンボジアのほうが成功する可能性が高そう(ニーズがありそう)」とわかるケースもあります。展開先にあたりを付けることは大切ですが、進出戦略に柔軟性を持たせておくことも海外展開では重要です。

日本企業の海外進出・アジア進出を支援している「TENKAI」では、上海、香港、ベトナムに自社拠点を保有。輸出支援や現地プロモーション支援、展示会出展支援などの各種サービスを利用されるお客様に対して、各地およびその近郊エリアにおける拠点設立のお手伝いをしています。成功の鍵は、もしかしたらカンボジアにあるかもしれません。具体的に海外展開したい商品がある企業、国内でブランド力がある商品を海外に輸出したい企業の経営者様・事業部長様はお気軽にご相談ください。

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