コンビニ展開に見る、中国でのフランチャイズビジネスの流れ

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上海や北京といった中国の大都市を歩くと、目に飛び込んでくるのがファミリーマート、ローソン、セブンイレブンといった日本のコンビニエンスストア。今では日本発のフランチャイズによる「便利店(中国語で言うコンビニエンスストア)」が一大勢力となって、本土を席巻している感があります。

日本企業・日系企業の海外展開をサポートする「TENKAI」がお届けするこのコラム、今回は、コンビニに代表されるフランチャイズビジネスを中国で展開するうえで知っておくべき実情についてご紹介します。

まだ過渡期?中国でのフランチャイズビジネス事情

近年、中国全土で日本のコンビニが急速に出店数を増やしています。たとえば、1996年に上海進出を果たしたローソンは、2015年7月時点で564店舗を展開。後発のファミリーマートは2015年2月時点で1304店舗と、ローソンの倍以上の出店数を達成しています。また早くから香港などで勢力を伸ばしてきたセブンイレブンも、2015年6月時点で2101店舗を展開中です。

数字だけを見ると、中国はフランチャイズビジネスに対して広く門戸を開けているのかと思えそうですが、実はそうではありません。日系企業をはじめとする外資企業に対する厳しい規制がいくつもあり、それが参入障壁となって立ちはだかっているのが現実です。その意味では、コンビニや外食チェーン、小売などのフランチャイズビジネスはまだ過渡期にあると言えます。

参入障壁となっている規制とは

それでも、上述したコンビニ大手3社は歴史もあり、ビジネスモデルとしても完成しているので、他の日本企業に比べればまだスムーズに中国進出を果たせたほうかもしれません。しかし、中国ではフランチャイザー(フランチャイズ本部)に対して下記をはじめとする厳しい条件や煩雑な手続きを課しており、これがボトルネックとなっています。

1 直近1年間に2店舗以上の直営店を営業していること

中国当局は、国内でフランチャイズビジネスを展開するには少なくとも直近1年の間に2店舗以上の直営店を営業していなければならないという条件を課しています。なお中国以外の国・地域での実績も認められますが、その場合、手続きはかなり煩雑で手間がかかるものになります。

2 加盟店と締結後は商務部または地方自治体に届けを出すこと

フランチャイザーは、フランチャイジー(加盟店)との契約締結から15 日以内に当局の商務主管部門に届け出を行う必要があります。ただし、省や自治区、直轄市をまたいで締結を行う場合は、地方自治体の商務部門にも届け出を行わなければなりません。しかもこれらは、毎年の更新が課せられています。

それでも勢いが止まらないフランチャイズビジネス

中国におけるフランチャイズビジネスの歴史は浅く、1987年に北京に出店したケンタッキーフライドチキンがその第1号だと言われています。それだけにかの地ではフランチャイズビジネスそのものが未成熟で、十分な規制緩和がなされるまでに至っていないと言えます。それでも、コンビニ3社の出店数の伸びが示すように、アジア圏で最大の一大消費市場である中国でのフランチャイズビジネスは今後も拡大を続けることでしょう。

中国本土におけるコンビニチェーンの加盟資金相場
コンビニを現地でフランチャイズ経営する場合、どの程度の資金が必要になるかは気になるところかと思います。国内No.2のファミリーマートを例に取ると、30〜60万元(約600〜1200万円)の準備金が必要とのこと(契約の種別にもよります)。一方、セブンイレブンの場合は60万元(1200万円)とファミリーマートよりやや高め。中国本土でファミリーマートが出店数を飛躍的に伸ばしているのは、この加盟料(準備金)の低さに理由があると言えるかもしれません。

フランチャイズビジネスの伸びしろが期待できる中国の基礎データ

国名:中華人民共和国(People's Republic of China)
面積:960万km2(日本の約26倍)
人口:約13億人
首都:北京(人口1961万人/2014年)
言語:漢語(中国語)
主要産業:繊維、食品、化学原料、機械、非金属鉱物
名目GDP:約51兆9322億元(2012年)
経済成長率:7.8%(2012年)
在留邦人数:13万1534名(外務省海外在留邦人数調査統計/2010年)

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