あまり知らない?モンゴルの大都市ウランバートル

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人口が増え、インフラが整い、経済規模が右肩上がりのアジア諸国の中でも、特に勢いのある国の一つに挙げられるのがモンゴルです。モンゴルというと「遊牧民」「大草原」といった風景を連想する方も多いかもしれませんが、それはもう一昔前のイメージ。実は、「(当年のGDP-前年のGDP)÷前年のGDP×100」という公式で算出される経済成長率で世界のトップ10にランクインするほど、発展著しい国なのです。

そのモンゴルの首都がウランバートルです。ウランバートルは人口100万人を超える大都市なのですが、その内情についてはあまり知られていません。日本企業の海外展開支援サイト「TENKAI」が海外進出に関する濃厚でリアルな情報をお届けする当コラム、今回はそんなモンゴルの大都市ウランバートルについてご紹介したいと思います。

まずは、モンゴルの基礎知識を

国名:モンゴル国(Mongolia)
面積:156.4万km2(日本の約4倍)
人口:299万5900人(2014年)
首都:ウランバートル(人口136万3000人/2014年)
言語:モンゴル語、カザフ語
主要産業:鉱業、牧畜業、流通業、軽工業
名目GDP:120.1億ドル(2014年)
経済成長率:7.8%(2014年)
在留邦人数:439名(外務省海外在留邦人数調査統計:平成 27年要約版)

 

面積は日本の約4倍もありますが、人口の約45%が首都ウランバートルに集中。しっかりとした経済基盤を持つ都市部には近代的な建物が並び、おしゃれなカフェやブティックも軒を連ねるなど、「遊牧民」「大草原」といったイメージとはかけ離れた世界があります。都市部以外に目を移せば、国土の90%以上が砂漠。都市部とそれ以外の地域でまったく異なるふたつの顔を持つのがモンゴルといえます。

ウランバートルの注意点

もしみなさんが海外展開先の候補としてウランバートルをお考えなら、以下の3点を覚えておきましょう。

その1 気候に注意

北緯47度、標高1350mに位置するウランバートルは内陸性ステップ気候に区分され、乾燥および寒暖の差が非常に激しい地域です。気温が連日30℃を超える真夏には、熱中症や心筋梗塞、腎臓結石などを発症する人が増加。冬は冬でシベリアから来る寒波のせいで-20℃を下回ることも珍しくない(1月の平均気温は-21.7℃)ことから、「世界で最も寒い首都」とも呼ばれます。

その2 大気汚染に注意

急速に都市化が進んだウランバートルでは大気汚染が深刻で、世界保健機関の調査(2014年)によればイランのアフワズに次いで世界で2番目に大気が汚い都市なのだそうです。その原因として考えられるのは、電力使用量の増加にともない火力発電所の稼働が増えていることと、急増した自動車の排気ガス。自動車の増加は、慢性的な交通渋滞の原因にもなっています。

その3 汚職に注意

2012年にエンフバヤル大統領(当時)が汚職で逮捕されましたが、モンゴルでは政治腐敗や役所での汚職も深刻です。Transparency InternationalというNPO法人が世界182ヶ国を対象に行った調査によれば、モンゴルの汚職指数は10点満点で2.7点。アフリカや旧ソ連の独裁国家と同じレベルの汚職が横行しているということです。

それでも、ウランバートルへの海外進出が増える理由

モンゴルには2013年10月時点で住友商事、双日、澤田ホールディングをはじめとする225の日本企業があり、企業の海外進出は今後さらに増えていくと予想されています。その理由として考えられるのが、鉱物自然が豊富なことから安定的に発展が見込めること、そして政府が積極的な外資導入による経済成長を目指していること。外資系企業に対する規制も少なく、日本企業にとっては比較的「進出しやすい国」なのです。

全人口が300万人弱なので国内マーケットを狙ったビジネスに発展を期待するのは難しいですが、資源の開発や衣料品の原料買い付けや現地生産といったところではポテンシャルがあります。中小企業にとって「大規模な資源開発」は現実的ではありませんが、採掘した資源の1次加工などにおいては存在価値を発揮できるかもしれません。

明確な「戦略」と「市場調査」がポイントです

モンゴルで海外進出を成功させるために重要なのは、明確な戦略を持ち、市場調査によって最適な進出先かどうかジャッジすることです。現地で良いパートナーに出会えるかどうかも成功を左右するポイント。まずは海外展開の経験豊富なコンサルタントに相談し、情報収集をしてみましょう。

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